死亡より怖い?就業不能リスク。
遺族年金は使えない、このリスクへの備え方
死亡より「働けなくなる」ほうが、現役世代には身近なリスク
生命保険というと「死亡したとき」のイメージが強いですが、現役世代にとってより現実的なリスクは「長期の就業不能」です。
脳梗塞・心筋梗塞でのリハビリが数ヶ月に及ぶケース、うつ病などの精神疾患で休職が1年以上続くケース、交通事故による後遺障害——これらはいずれも「亡くなるわけではないが、収入が止まる」状況です。
- がん(悪性新生物)
- 脳血管疾患(脳梗塞・くも膜下出血など)
- 心疾患(心筋梗塞など)
- 精神疾患(うつ病・適応障害など)
- 骨折・関節疾患(事故・老化による)
国の保障は3つある——でも、それぞれに「壁」がある
就業不能になったとき、使える公的制度は主に3つです。ただし、それぞれに対象条件と限界があります。
病気・ケガで休職した場合、給与の約2/3が支給される制度(健康保険から)。4日以上連続して休んだ場合に適用されます。
壁:支給期間は最長1年6ヶ月。それ以降は支給がなくなります。自営業・フリーランスは国民健康保険のため対象外。
一定以上の障害状態になった場合に支給される年金(障害基礎年金・障害厚生年金)。2025年度の障害基礎年金は2級で年額831,700円、1級で年額1,039,625円です。
壁:認定には「日常生活に著しい支障がある」レベルの障害が必要。うつ病・腰痛・軽度の疾患では認定されないことも多く、申請しても不支給になるケースがあります。また、遺族年金とは別制度のため、就業不能時には遺族年金は一切使えません。
要介護・要支援認定を受けた場合に介護サービスが受けられる制度。65歳以上は原則対象、40〜64歳は特定疾病(16種類)に限り対象です。
壁:39歳以下は対象外。40〜64歳も、うつ病・骨折・一般的な生活習慣病などは特定疾病に含まれないため、介護保険が使えないケースが多い。また、現金ではなく「介護サービス」の提供が基本のため、収入の代わりにはなりません。
よく混同されますが、遺族年金は「被保険者が死亡した場合」に残された家族に支給される年金です。本人が生きているが働けない状態では、遺族年金はまったく使えません。就業不能リスクに対して遺族年金で備えることはできないのです。
公的保障の「壁」を整理する
| 制度 | 対象者 | 限界・壁 |
|---|---|---|
| 遺族年金 | 死亡した人の遺族 | 就業不能(生存)には使えない |
| 傷病手当金 | 会社員・公務員 | 最長1年6ヶ月/自営業は対象外 |
| 障害年金 | 重度障害が認定された人 | 認定基準が厳しい/軽度疾患は非該当 |
| 公的介護保険 | 65歳以上/40〜64歳は特定疾病のみ | 39歳以下は対象外/現金給付ではない |
参考:生命保険文化センター「働けなくなったときの公的保障」/厚生労働省「障害年金の制度」/日本年金機構「障害基礎年金の金額(令和7年度)」
このように、公的保障はそれぞれ「誰が」「いつまで」「どんな状態なら」という条件があります。その条件から外れた部分——傷病手当金が終わった後、障害年金が認定されなかった場合、39歳以下で介護が必要になった場合——これらはすべて、自分で備えなければ誰もカバーしてくれません。
民間の就業不能保険で「壁の外」を補う
公的保障で対応できない部分を補うのが、民間の就業不能保険・収入保障保険です。
就業不能保険を選ぶときの3つのポイント
- 「就業不能」の定義を確認する——入院中のみ対象か、在宅療養・自宅安静も対象かで大きく違う。精神疾患・うつ病が対象かどうかも必ず確認
- 免責期間(待機期間)を確認する——給付開始まで60日・90日の待機期間が設けられているものが多い。傷病手当金との組み合わせで空白が生まれないよう設計する
- 給付金額は手取り月収の60〜70%が目安——全額を保険でまかなう必要はなく、公的保障との組み合わせで「生活が成り立つ水準」を確保する
設計の考え方:傷病手当金が出ている最初の1年6ヶ月は重複しても問題ありません。その後も就業不能が続いた場合に民間保険の給付が続く設計にすることで、長期の収入途絶に備えられます。
特にリスクが高い人
- 住宅ローンがある(収入が止まるとローン返済が困難になる)
- 子育て中で、貯蓄がまだ少ない
- 自営業・フリーランス(傷病手当金がなく公的保障が薄い)
- 39歳以下(公的介護保険の対象外)
- 精神疾患リスクが気になる(うつ病は障害年金の認定が難しい)
「交通事故のケガは自動車保険があるから大丈夫」は半分だけ正解
自動車保険の人身傷害保険は、交通事故によるケガの治療費・入院費・後遺障害などを補償します。これは確かに重要な備えです。
しかし、人身傷害保険が支払うのはあくまで「事故によって生じた損害の補償」。事故後に長期間働けなくなった場合の毎月の収入の穴を埋める役割は、就業不能保険が担います。
たとえば、交通事故で後遺障害が残り、1年以上働けなくなったとします。
人身傷害保険:治療費・入院費・後遺障害に対する一時的な補償金を支払う
就業不能保険:働けない期間中、毎月の生活費・ローン返済に充てる収入を継続して補填する
どちらか一方では足りません。両方の備えがあってはじめて、長期の就業不能に対応できます。
→ 自動車保険の人身傷害補償について詳しくはこちら
まとめ
亡くなったときの備えとして遺族年金がありますが、就業不能になったときに遺族年金は使えません。傷病手当金は1年6ヶ月で終わり、障害年金は認定基準が高く、公的介護保険は年齢と疾病の条件があります。
公的保障の「壁の外」——そこを補うのが民間の就業不能保険の役割です。「死亡保障は入っているから大丈夫」という方こそ、一度就業不能リスクへの備えを確認してみてください。
「傷病手当金が終わった後」に備えていますか?
就業不能保険は、各社で保障の定義が大きく異なります。「どの保険が自分に合うか」は、ライフプランや職業によって変わります。個別相談でご一緒に確認しましょう。
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